お歳暮とはどのような意図で贈られるものかご存じでしょうか。近年では上司や取引先だけでなく、親しい友人や家族にもお歳暮を贈ったり、贈る時期が年々早まってきているなど従来と少しずつ変わってきている所もあるのです。
今回は、長崎で創業150余年、元祖茶碗むしのお店「吉宗(よっそう)」が、お歳暮を贈る最適な時期やギフトの選び方など、お歳暮に関する基本的なマナーについて紹介します。
お歳暮とは?
お歳暮の起源は江戸時代?
お歳暮とは、日頃お世話になった方へ感謝の気持ちを伝える贈り物であり、主に年末に贈られます。この風習の起源は江戸時代に遡り、お盆と暮れの時期に商人や店子が感謝の意を込めて贈り物を持参したことが始まりとされています。お盆に贈る品物は「お中元」と呼ばれ、暮れの贈り物が「お歳暮」として定着しました。
お歳暮の由来や背景、贈り物に込める意味
近年では、両親や親戚、上司やお取引先に加えて、友人や同僚、習い事の先生など、さまざまな相手に贈ることが一般的になっています。お歳暮の由来には中国の道教の習慣や、日本の正月に関わる伝統などが影響しており、贈り物を通じて1年間の感謝の気持ちと、来年もよろしくお願いしますという挨拶の意味を表す文化が育まれてきました。
お歳暮を贈る時期
一般的には12月上旬から25日頃が最適
お歳暮を贈るタイミングは、一般的には12月上旬から25日頃が適していますが、近年では11月下旬から贈る人も増えてきています。また、お歳暮は地域によって贈るタイミングが異なり、例えば関東では12月初旬から12月20日頃、関西では12月13日から20日頃、北海道や東北、九州などのその他の地域では12月10日から12月20日頃に贈るのが一般的です。また、沖縄は12月初旬から12月25日頃までと比較的長くなっています。
お届けが年内に間に合わない時は?
もし年内にお歳暮が間に合わない場合、関東では1月7日まで、関西では1月15日までに「御年賀」として贈ることが可能です。その際、先方にはお詫びの連絡をし、年明けに贈る旨を伝えることが望ましいです。
また、時には贈る相手との関係性や都合に合わせることも大切です。例えば年末の帰省で家族や親戚が集まる大晦日に届くよう手配したり、年末の忙しくなる前の11月末〜12月初旬に届けたりと、贈る相手のさまざまな都合も考慮し、余裕を持って発送することが大切です。
お歳暮の渡し方
渡し方については、伝統的に相手の家に直接持参するのが正式ですが、現代ではデパートから配送などの手段もあります。直接渡せない場合は、添え状をつけると丁寧な印象を与えます。
相手への配慮が必要なこと
生鮮品や冷凍品を贈る際は事前に到着時期を伝えたり、目上の方へ贈る場合には事前確認などの手間が要らないような、常温保存が可能なギフトを選ぶと良いでしょう。お歳暮は家族や上司、取引先、恩師など幅広い方々に贈るものですが、一度贈り始めたら毎年贈るのが通例とされているため、よく考えてから贈りましょう。また、今年だけ贈りたい場合は「お歳暮」ではなく「お礼」として贈りましょう。
お歳暮にはのしをかける
地域によって特色が違ったりもしますが、一般的にお歳暮には熨斗を掛けます。水引は紅白の「花結び(蝶結び)祝い」や「一般お祝い用」を選び、上半分には「お歳暮」または「御歳暮」、下半分には贈り主のフルネームを記入します。連名の場合は、3名まで右から目上の順で書き、それ以上は代表者のみ記入します。贈り主が個人か会社かなどによってもマナーが変わるので注意が必要です。
喪中でもお歳暮を贈って良いか
お歳暮を贈ることは可能ですが、忌明け後に贈るのが望ましいです。その際、故人宛の贈り物や紅白を連想させる品物、華やかな花などは避け、慰めのメッセージを添えるなど心配りがあると良いです。どんな年も、相手に配慮した贈り方を心がければきちんと感謝を伝えられます。
お礼状やお返しのマナー
お歳暮をいただいた際は、まずはなるべく早めにお礼を伝えることが大切です。そのため一旦電話やメールなどでお礼を伝え、後日改めてお礼状を送るようにすると、きめ細やかでスマートな印象を与えられます。
お返しの品物を贈る場合も、いただいた品物と同等~半額程度のものにお礼状を添えて送ると良いです。ただ、通常は目上の方に対して目下の立場から贈るのが一般的なので、この場合は礼状のみでも十分です。
お歳暮の選び方とポイント
お歳暮は、お届け日の相手の都合やギフトの価格など気にすべきことも多いですが、なによりもらった相手が嬉しくなるものを贈るのが一番です。お酒やソフトドリンク、加工肉、菓子類、商品券などは普段から気軽に消費でき、賞味期限も比較的長めで安心なことから毎年人気ですが、お酒は相手が飲まない場合は別のものを贈るなど、心遣いがあると喜ばれます。
季節のフルーツやスイーツはファミリー層に、高級食材や温めて簡単に食べられるものは世帯を選ばず喜ばれます。相手の好みだけでなく、家族構成も考えると贈りものの幅も広がります。
お歳暮に不向きなもの
一般的に失礼にあたるものとして、まず「手切れ」を連想させるハンカチや「縁を切る」イメージの刃物(ハサミや包丁)、靴下やスリッパなどの足で踏みつけることを連想させる履物などがあります。また、櫛(くし)も「苦死」という縁起の悪い意味を含むため、感謝の気持ちを込めるお歳暮には不向きです。
その他の注意点
金額の目安は3,000~5,000円程度が一般的ですが、会社の上司や取引先には5,000円以上が目安とされるなど、贈る相手や関係性などによって変わります。また、お中元とお歳暮は両方贈るのが望ましいですが、難しい場合は年の終わりの挨拶が出来るお歳暮の方を優先すると良いです。
お歳暮で感謝の気持ちを伝えよう
お歳暮は、この1年間お世話になった方や大切な方へ、日ごろの感謝を込めて贈る物です。相手を想いながら感謝の気持ちを込めてお歳暮を選ぶことで、仲がより深まり、今後の良いお付き合いにつながる大切な機会になります。
また、遠方に住んでいて普段なかなか会えない方には配送で贈れるため、挨拶をする良い機会になります。心を込めたお歳暮を贈るためにもマナーを守り、相手に気持ちよく受け取ってもらえるように心がけましょう。
創業150余年を営む吉宗伝統の「茶碗むし」は、長崎の山海の幸を生かした家庭の味で、永年皆様に親しまれております。公式オンラインショップでは、本店で食べる味と遜色ない美味しさをご家庭や贈り物でもお楽しみいただけます。
お世話になった人や家族、友人など、大切な方への贈りものにいかがでしょうか。